当時の大本営は、軍人組織というより官僚組織化して身内をかばう悪習が身についていたようです。その体質はいまの大蔵省に引き継がれているのではないでしょうか。ある外資系調査機関の推測によれば、邦銀が不良債権と認識していない実質的な不稼働資産は約四○兆円あるそうです。この数字は企業グループやメーンバンクの援助を受けて、公定歩合程度の利払いだけをかろうじて続けている企業の債務の合計額だそうです。公定歩合○・五%という超低金利が改善されれば、これらの隠れた不良債権は一気に表に出てくるでしょう。日本の不良債権問題は、いよいよ銀行の帳簿上の問題から、ついに家計の帳簿の問題にまで大きく広がってきた観があります。個人向けの住宅ローン残高は約五○兆円といわれていますから、この層にまで不良債権が増殖すると大変なことになります。毎年五万人を超える自己破産や増大する中高年サラリーマンの自殺、一○○万人ともいわれる破産予備軍など、予兆ははっきり見え始めていますから、ますます深刻な事態になりそうです。これで個人の与信事故が増えたら、銀行はどう対応するつもりなのでしょうか。さすがにここまで不良債権問題がこじれてしまいますと、銀行マンも「不動産は苦手」などと悠長なことばかりいってはいられません。

